農協で一番大変なところを経験者10人に聞いてみた
保険営業
少し前に勤めていました。農協によっても違うのですが、対象になっている商品のノルマを達成させるのが一番大変だと思います。
私がいた農協では貯金や保険の他に、ジュースや家電・車もノルマの対象でした。よその農協では洋服や家もノルマになっている所もあるようでした。
外を回る渉外さんならともかく内勤者だと達成は困難。なので支店毎に協力しあって、業績を分けあったり、業務終了後に渉外さんと内勤者がペアを組んで組合員さんの家へ訪問したりしていました。
個人のノルマというより支店のノルマって感じでしたが、当時でジュースを年間45ケース、車が年1台、保険は1億、貯金は時期によって300万など…初めてその話を聞いた時にはゾッとしました。
お給料の階級によってノルマの金額は違うのですが、家電も毎年3万のノルマがあって、これは協力して達成ではなく高卒で自宅から通っていた私は自宅や親戚に必死に買い替え時期の家電が無いか聞いて回っていました。
お給料の3分の1くらいはノルマで消えてました。
私は地方の農協に実際に勤めています。農協の仕事の大変なところは推進の時期です。推進とは民間企業で言うところの営業に当たります。
特に共済(保険)推進では、8:30から17:00までの一般の業務が終了した後の時間外に農家や利用者の自宅に回ります。一人で回ることもあれば先輩職員や上席者と一緒に回ります。
この御時勢、共済の契約を取るのは難しく、なかなか契約を結ぶことは難しいです。業務終了後から推進に行って、帰宅時間は20:00過ぎることもありました。この生活が人によっては数ヶ月続くことがあります。
共済にはノルマもあり、9月の末までに一般職員は達成しなければなりません。共済専門の外務の職員もいますが、一般職員にまで多くのノルマを課されています。推進での時間は残業代は一切支給されることはありませんし、交通費の支給もありません。
ノルマが達成できない方は親戚にお願いして職員が被ることもよくあります。私も共済を全部で7つほど被っています。給料はほとんど共済の掛け金で残りません。
共済でつぶれて、離職者も多いため、農協は大変な仕事だと少ずつ世間に広まっていっているようです。
私の最初の配属は野菜を市場に出荷する販売課でした。朝5時には農家の家を巡回して、その日の収穫高を確認をしていました。
それが終わると事務所に戻り、各市場に連絡を出荷できる数量を電話連絡していました。
上記の作業をしていると、午前が終わり午後には野菜が入庫されてきます。入庫された野菜を、トラック会社の人間と積み込みをするのも業務の一つでした。
ひどい時には、配車の関係上、20時から積み込みも頻繁にあり、家に帰るのがとても遅い時間で家族にも苦労をかけていました。
この様な業務だけなら、担当業務なので我慢はできましたが、プラスアルファで保険の営業もありました。名目上は、業務終了後の推進でしたが、定時退勤であればできたかもしれないが、毎日残業対応なのでできませんでした。保険を取る事出来ないと、ボーナスはカットされ、たくさんの人の前で怒鳴られます。とても耐え難いものでした。
最終的な手段として、自分自身に保険をかけたりします。自爆保険を勧められ、何の為に働いているのか分からなくなりました。
最終的に転職をして今日にいたります。
現在の農協は、病院の経営やガソリンスタンドの経営等、幅広くありますが、病院の事務やガソリンスタンドの店員などは比較的楽な仕事であると思います。
私が思いますに、一番、農協の仕事で大変だと思う事は、保険の勧誘の仕事であると思います。この仕事は、地道に一軒一軒歩いて家を訪問して、農協の保険を勧誘するのでありますが、門前払いを食らったり、嫌な思いをすることがたくさんあります。
それに報酬として、仕事の保険の契約の取得件数が、社員一人一人、違ってくるのでありますが、他の社員と比較した場合、保険の契約の取得件数が低い場合は、辛い思いをすることになります。個人差がありまして、この保険の営業の仕事に向かない人、訪問契約の仕事に向かない人は、精神的なダメージが大きいと思います。
肉体的な疲労は、ガソリンスタンドの店員などに比べると、楽かもしれませんが、精神的な面からすると、この保険の勧誘の仕事は計り知れない精神的な疲労を伴うものであると思います。
一番大変なことはノルマがきついことです。共済といって一般的に保険の契約をとる仕事です。それを専門にやる人をLA(ライフアドバイザー)といいますが、この人達の仕事は一番大変だと思います。
確かにこの仕事で農協の収益が上がって職員に給与を支払えるのですが、そもそもなぜ農協がそのような事業をしなければならないのか。昔のようにお米の買い取り値段が高ければ問題ないのですが、今はお米を作れば作るほど赤字の世の中なので、組合員の方も高い共済金ばかり払っているわけにもいかないでしょう。
またLA以外の職員にも一律ノルマは課せられます。ほとんどの人が自分の身内、親戚にお願いするような状態です。
そのほかにも背広、着物も売るのに毎年ノルマがあります。ペナルティというものはありませんが、支店長からまたは組合長からすごまれることはたびたびあります。
このことが一番農協に勤めていて大変でいやだったことです。今は若い人がどんどんやめていくのもこの制度のせいかもしれません。
一番大変なのは保険を取ることです。毎年ノルマがあって、その分ノルマをこなさないといけません。このノルマが多くていつも大変です。
他の仕事を受け持っていても、この保険のノルマはあるので、家族や友人知人に頼んでみるのですが、なかなか農協の保険に入ってくれる人は少ないです。その少ない中から何とか見つけて入ってもらわないといけないので、本当に大変です。
農協の保険に興味を持ってくれた人がいたとしても、その人の説明をしに行かないといけないのです。これもまた大変です。どういう保険なのかきっちり説明する必要があるので、予習勉強をしないといけません。この保険のノルマがなかったらなといつも思っています。
ノルマをクリアしないと呼ばれてみんなの前で怒られたりもします。ノルマ達成した人と給料が違ったりすることも。そういうのが本当にストレスで、なんでこんなことしないといけないのだろうと思います。
私の業務は保険を取る係ではないのに、毎回どの部署でも保険のノルマが課せられて保険を取ってこないといけないのは辛いです。
保険関係の獲得、実質的なノルマがあることです。
身内はもちろん親戚に頼んで入ってもらって当たり前という態度で上司が圧をかけてきます。親戚に頼むといっても関係性を壊さずに頼むのは難しいです。都市部から従兄弟のお嫁さんが来たのですが、「今まで入っていた保険で十分ですし、うちは農家を継ぎませんから農協ともお付き合いしません」と最初はにべもなく断られてしまいました。
従兄弟の家は県庁所在地で比較的開けていて、都市銀、地銀もあります。従兄弟のお嫁さんは東海地方の大都市から関東の田舎に引っ越してきたので、農協と少しでも付き合ったら従兄弟の親の農家を手伝わされると勘違いしていました。
農協=農家ではないこと、農協でお葬式を出すと農家の集まりになりそうだからお葬式の付き合いは頼まないからと従兄弟のお嫁さんはまだ勘違いしていました。お葬式で農協を通しても、農家のみなさんの集まりにしない方法はあるんです。今どき、従兄弟が住んでる県庁所在地では農協でお葬式を出しても、喪主の意向次第で近所の農家の人を集めず親族葬にできるんですけど、従兄弟の奥さんは若いからピンと来ないようでした。
農協という名前で随分損をしていると思います。保険に関しては、全労済、都道府県共済、CO・OP共済並みにコストパフォーマンスが良い商品が多いのに、農協という名前だけで農家を継ぎたくない親族から誤解されて保険の獲得が大変です。
保険商品の説明をする前に農協とは何かから説明する必要があって大変です。よく例に出すのはCO・OP共済です。生協で宅配を頼まなくても出資金を払えば保険だけ加入出来ます。農協の保険も出資金を払えば農家ではない人でも加入出来ます。農協ではない方でも加入して頂いている例を説明してやっと親族に納得してもらえます。
そして、これから農協で働く方にひとつお願いがあります。保険については自分でしっかり勉強してください。アドバイスとしては、貯蓄型の商品は比較的勧めやすいです。銀行さんに預けて置いても金利が今は心もとないのでまとまったお金は共済で用意すると楽ですというと獲得もスムーズです。
お話が上手い人なら総合保障型の保険も「もし怪我や病気をしても安心です」という主旨を相手の機嫌を損ねずに言えるのですが、口下手だと「縁起でもねえ、帰れ!」と農家の方にまで叱られて関係が悪くなります。
農家との付き合い
農協は金融や保険など様々な事業を展開しています。
私の配属された部署は、農家の方々と直接的な触れ合いが最も多い出荷作業でした。農家の方が出荷場に持ってきた野菜を、各市場と連絡を取り合って出荷数量を決定し納品するという業務が中心となってきます。
各農家の出荷数量を管理して金融部門に報告する業務もありますが、ここまではそれほど負担のかかる内容ではありません。
農協で一番の負担になるのは、この部署を中心としてすべての部署で仕事以外での農家の方達との付き合いです。
例えばネギを栽培している農家の場合にはネギ部会といったような集まりがあります。おおよそ月に1回ぐらいのペースで集会があり、地域に密着している農協としては出席しなくてはいけません。時間も仕事が終わってから、夜遅くまで無給で続きます。集会といってもメインは飲み会で、相手のペースに合わせて飲まなければなりません。
そのような部会が4つほどあり、多いときには月に4回ほど部会が開かれるためプライベートな時間が台無しになってしまいます。
また、保険や貯金を獲得するためのノルマも部署に関係なく課せられるので、大きな負担になります。
幅広い知識が必要
農協で一番大変なことは、農業のことから金融、共済、購買まで幅広い知識が必要であり、組合員に対応しなくてはならい点です。
農協といえば農業というイメージがあるかと思いますが、各農協では、農業関係以外にも銀行のような部門、共済部門などの部署があり、それぞれ銀行と同レベル、保険代理店と同レベルの知識が求められます。
例えば営農関係の部署にいたとしたら、営農の知識はもちろんですが、農協によっては金融や共済部門以外の職員にも、定期預金や共済の推進(営業)のノルマが課せられることがあったりするので、金融や共済の知識も基本的な部分は理解しておかなければいけません。
逆に、金融や共済の部署にいたとしても、組織の基礎が「農業・農家」なので、話のとっかかりで農業の話ができなければ、組合員と信頼関係を築くことができません。そうなるとその後の推進活動に影響が出てしまいます。
もちろん、具体的な細かい話になった場合には、専門部署の職員が対応することにはなりますが、「農協=地域の何でも屋さん」というイメージを持っている組合員が多いので、幅広い知識や話題を持っていなければいけないことが大変かと思います。