社労士で一番大変なところを経験者に聞いてみた
私は社労士としてある企業に勤めていました。ほとんどが書類作成や社保関係の社員への連絡などでルーティンさはありますが、やはり人を相手にする仕事なので一筋縄ではいかないことなありその点が大変です。説明をして納得してくれる人とそうではない人がいます。そして高齢な人ほど考え方が偏っているので、すんなり話を飲み込んでくれません。説明方法の仕方を工夫するのですが、それでも納得していただけないことがあり悪戦苦闘します。特に苦戦するのは失業保険関係です。自己都合の場合はすぐに失業給付を受けることができないのですが、どうしてなのかと国で決まっている制度を納得していただけないことがあり、私にどうにかしろと怒鳴られることがありました。この場合は丁寧に説明するしかないのですが、1日かかりになってしまうこともありとても労力が必要です。私は誰が聞いても分かりやすい説明を常に心掛けて日々仕事をしています。大変ですが、やり甲斐もあります。
社労士の一番大変なことは、お客様である民間企業から、無理難題といえる内容の人事制度の設計を依頼されることです。
たまに人事部をとおして依頼を受けますが、とくにオーナー企業の社長の強い意向が含まれているケースでは大変です。
具体的な経験としては、社長の意向で「能力の低い管理職については、人事評価を実施したうえで降格をさせたい。そして、著しく能力の低い50歳を過ぎた社員については、人事評価のうえで、退職勧奨をできる人事制度案を作ってほしい」と依頼されたことがあります。
日本の労働者は、労働基準法など関係法令や、裁判の判例で、身分保障が強固にされています。このため、能力が低いという理由だけでは退職勧奨することは無理です。さらに、管理職を降格させる場合も、社外の第三者が客観的に見て妥当と判断できる相当な理由がないかぎり、降格させることはできません。すでに裁判の判例があります。
しかし、お客様の企業の社長に直接、そのように報告したところ「法律には、どこかに拡大解釈の余地があるだろう。それを考えるのが専門家である社労士の仕事だろう」と厳しく言われてしまい、私は法律と裁判の判例を詳細に調べなければなりませんでした。
おかげで、この会社の人事制度案を作るために、他のお客様企業からの仕事への着手が大幅に遅れることになってしまったほどです。
法令違反すれすれの人事制度案を作ってくれと依頼されることほど、大変な仕事はありません。
一番大変なことは、依頼をもらった会社に法律違反があった場合です。社労士の仕事で最も多いのは、会社で働く人の労働保険と社会保険の手続きに関するものです。それは会社の経営者から依頼を受けるのが一般的で、経営者から報酬を得ることになります。ということは、経営者の意向に添うように仕事をするのが基本となります。なぜなら、経営者に逆らったと思われると、仕事を継続してもらえない、失ってしまうことを恐れるからです。このような状況で、例えば残業代が支払われていないことを見つけた場合に、経営者にどのように伝え、改善してもらうかは、多くの社労士にとって悩みの一つでしょう。残業代が支払われていないということは、労働時間をきちんと管理していない証拠でもあるわけですから、直ちに是正すべきです。残業代が支払わせていないことで、労災保険や健康保険の給付の金額に影響を及ぼす場合もあり、労働者にとっては不利益なのです。社労士が労働基準監督署のような官庁に申告することは、法律上は問題ありませんが、報酬をもらっているために、正義を貫くことができない社労士は少なくないと考えます。単に手続きの依頼を受けているだけだから、経営者の指示に従えばよいかといえば、法律違反を黙認することになるので、簡単でもないのです。このように、法令違反にならないように労働法の専門家として依頼を受けているという社労士の立場は、経営者と労働者との間で中立ということではないと考えます。さらに、法律違反について労働者が監督官庁に申告した場合には、経営者の代理人として是正改善の指導を受ける立場にもなり得ます。また、経営者の中には露骨に法律違反を黙認すること、ごまかすことを求める人もいて、神経の弱い人には経営者から依頼される社労士の仕事は向いていないでしょう。会社の経営者から依頼される仕事を遠慮して、一般の個人から仕事を受ける公的年金に特化している社労士、労働者側からの依頼のみを引き受ける特定社会保険労務士という人もいらっしゃるように感じます。(ただし、労働者側の仕事はほとんどないので、収入的には厳しいはずです。)
社会保険労務士として一番大変なのは、顧客の確保につきます。
勤務社労士や、どこかの社労士事務所に所属して、仕事を行うのであれば、顧客は出来上がっていますので、新規開拓がノルマにでもならない限りは大変ではありませんが、自分自身で開業となるとそうはいきません。
現状、社会保険労務士は需要と供給のバランスが取れていません。
社会保険労務士を求めている(業務を委託しようとしている)会社の方が少なく、もし、そういった会社があったとしても、何かしらのコネでもない限りは契約に結び付きません。
ポッと出の新規開業者では、あまりにもネームバリューがなさ過ぎて、契約に至らないことが多いです。
今後、政府は電子申請を推奨していくようですので、こういった専門事務に関しても簡略が進められていきます。
そうなると、なおのこと「お金を払ってまで依頼する」というメリットがなくなり、仕事量も減っていってしまいます。
もともと、社会保険労務士が作成する書類は、誰もが作れる書類ですので、どうしても社会保険労務士でないといけない理由はありません。
会社側としては、手の空いている事務員にやらせればよいだけですので、他の何かを武器に持たないと、今後社会保険労務士として残っていけません。
私は、税理士の仕事との兼業で社労士の仕事もしています。主に国民年金や厚生年金の仕事が、社労士の仕事の半分くらいを占めているのですがその場合公共の相談の場での仕事とのなります。年金記録を調べたりとするのですが、記録忘れをなくすためその人の職歴などを相談で調べていきますけれど複数の仕事を経験されている方などは、職歴の年代が重なったりとその辺りの整理が難しく必ずどこかで重なったりとすることです。そういう場合が、記録忘れなどが発生することが多く気をつけなければならないことです。また、障害年金や障害者手帳などの申請の手伝いをすることもあるのですが、なかなか申請が通らないことが多くある程度依頼者が、記録をしていれば良いのですが、多くの場合聞き取りで調べていかなければならないのですが、その依頼者の人生や病歴を一つ一つ細かく聞き取ってメモしていかないと病歴漏れが生じますし、病院への紹介や書類を書いてもらう場合でも難しくなってきます。またどの程度病気がきつい状態だったかが重要でそれによって書き方も変わってきます。その場合その人の心情も大事でこういう病気でと一つの病気でなら良いのですが複数にわたる病歴の人が多くどういう病気で年金や手帳を取ろうとするのかが重要になってきます。手帳や年金が取れないと報酬がもらえないので苦労して調べても手帳や年金が取れないと水の泡になってしまうことが多いです。
退職時の有給休暇一括請求に対し、社労士として間に入ること。
有給休暇は要件を満たせば労働者に法律上当然に付与される権利です。ゆえに使用者側としても「事業の正常な運営に支障をきたす」場合でなければ原則として拒むことはできず、「時季変更権」も退職日を超えての行使はできません。そして、ここから交渉が始まります。残日数を全部請求する労働者に対して一定程度は業務引き継ぎの為に出勤させたい使用者側。労働者としても全く業務引き継ぎを無視するわけではなくとも、退職日までに消化できなければ有給休暇は消滅してしまうだけに買取を請求したり、また、使用者側は退職日を伸ばよう打診します。この場合、次の職場が決まっている場合は、応じることが困難なケースも想定できます。前述の買取に感じては「退職で消滅する分」に限っては労働者保護を掲げる労働基準法に直ちに違法するとは想定し難いと考えます。(労働者に不利益な取り扱いとはならないため)しかし、このような取り扱いが通例化してしまうと問題である為に、あくまで「例外的な取り扱い」として運用するよう助言しています。
社労士業務として大変な事は、業務内容によって変わってきます。1号、2号業務については手続きや書類の作成になります。書類は色々な様式があるので、それぞれの意味や書き方が分からないものは官公庁に確認をしたりして確認します。確認にも手間と時間がかかるので大変ですし、それを顧問先に伝えるのも知識や経験が無ければ難しいです。助成金申請についても色々な種類があり要件を覚えるのが大変です。助成金についてはお金の部分が関わるので、スケジュールを組んで実行して行くことが必要なので期限管理は必須になります。顧問先にも助成金の主旨と内容を理解してもらいながら計画していくので多くの経験と顧問先とコミュニケーションを取って進めていくところが大変です。3号業務については労務相談業務になりますが、知識を常に新しくするとともに、法律に沿わないことは提案できないので、しっかり顧問先の問題点を聞き取って法律上の解釈はどうなのかを分かりやすく説明する事が知識だけでなく、自身の伝達能力も問われるので大変なところだと思います。
社労士資格を取得して、社労士事務所と企業の人事部の2種類の働き方をした経験があります。
働くところによって社労士の仕事の大変さは変わると思っていますので、その2種類の違いを
書いていくことで大変さをお伝えできればと思います。
まず、社労士事務所では「先生」の立場となり、顧問契約を結んでいる顧客企業の代表者や
人事部のマネージャー級の方と定期的にお会いすることがあります。そのため人事関連の
ニュースや法改正については全般的にしっかりと網羅しておく必要があるので勉強の継続は
必須といえます。また、仕事の内容としては就業し始めのころは手続き書類の大量作成に
追われていたことが大変でした。やってもやっても終わらない感覚でした。特に、年次作業
(算定基礎届や労働保険の算定)は時期が重複するので作業量が多いうえに、企業によって
算出根拠資料など作ることになるので忙しいだけでなくPCスキルなども必要で大変でした。
企業での社会保険労務士は社労士事務所ほど法改正に細かく対応していく必要はなかったです。
育児や病気の休職者関連の手続きは多めだったので期日を管理しながら行うことに
神経をつかっていました。給付金の提出期日はシビアなので従業員とコミュニケーションを
とってサポートのために働いていたという感じです。社会保険担当として働いていたので
年次作業ももちろんありましたが、自身が勤めている企業だけのことなので制度や部署、
従業員の休職状況など理解しているので作業自体が苦痛になるほどの忙しさはなかったです。
大変だったことは、制度改定や組織改訂に伴う業務です。社労士事務所のときは中小企業が
メインで、制度改定はほとんど経験がなく、法改正に伴う就業規則の修正程度でした。
(大きい社労士法人では違うとは思います)
私が勤めていたのが大企業だったので、制度改正や組織変更時には福利厚生や細則など
同時に見直すべきところを調べたり調整したりすることが大変でしたし、特に組織変更は
従業員の所属する部署が変わったり、部署自体が変わっていくので、各種手続き資料を
作成するためのベースの管理エクセル表なども更新が必要でした。社労士業務はPCスキルが
かなり必要と感じました。