その仕事で一番大変なところ

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音響エンジニアで一番大変なところを経験者9人に聞いてみた

正解のない中でいい音を作ること


音響エンジニアで大変な事は多くあります。

 

音響機材は重いものが多いので、会場設営をする際には肉体労働となりますし、コンサートなどの本番中は様々な局面に合わせて音を調整したり、効果を入れたりと緊張の連続です。時には突然音が出なくなったりといったトラブルもあり、本番中は緊張の連続となります。

 

ですが、そんな中でも一番大変な事は音作りに正解がないことです。音響エンジニアの仕事は様々な局面で音を作ることですが、音は様々な要因によって変化していきます。

 

例えば歌手が歌う歌をマイクを通して拡声したとします。歌手の声は毎日同じかというとそうではありません。その日の体調や気温などの要因によって少しずつ変化しています。

 

また、音を聞く場所によっても変化していきます。小さな会議室などで出す音、大きなコンサートホールなどで出す音、屋外のイベントで出す音、それぞれ音量から高音、低音のバランスなど適しているものは違ってきます。PAで同じ設定をしても聞こえてくる音はいろいろな要因で変化していきます。

 

そんな中で自分の耳を頼りに一番適した音を作っていく作業をしなくてはなりません。

 

ここのレベルを上げれば必ずその音が出るといったマニュアルはありません。正解のない中でなるべく多くの人に「いい音」だと感じてもらえる音を作り出していくことが一番大変な事ですが、それができたのではないかと思えることが一番やりがいのあるところでもあります。

 


一番大変なことは、音響を効果的に使用するために音の組み合わせを複数のパターンを覚えて音響を使用する環境も考慮にいれつつ音を繰り広げることが難しいことです。

 

正しい音を出すためには、正しい音を聞き分ける力が必要となります。いわゆる絶対音感と、複数の音を、同時に聞き分ける力が必要になります。この力は一朝一夕に得られるものではなく、長年の鍛練と継続した修練が必要となります。

 

このような長年の軌跡を踏まえても、実際の音響エンジニアとしての仕事をしていくなかでも失敗することが絶えません。実際に素人感覚の方が聞いても失敗に聞こえないかもしれないものが、プロの立場の人間が聞くと失敗となるケースが多々あります。

 

それぞれの失敗を振り返っても、なにが原因で失敗なのかを追及するのも時間がかかり、反省がおろそかになってしまいます。その時間がない中でも、反省ができる人こそがプロの立場の人間といえます。

 

私はまだその域に達していないため、まだまだ音響エンジニアとして学ぶべきことがたくさんあるため、面白い仕事、職種として認識しています。

 

体力がいる


裏方なのであまり仕事内容についての理解はないかと思いますが、なかなかハードな現場だと思います。

 

主に言われるのが、拘束時間が長いことと、設営・撤去時のハードなことです。特に一日で完結する現場は、作業が凝縮されます。早い時間に現場入りし、設営を行いそれからリハーサル・本番と進み、撤去まで行ってしまいます。

 

二日続きの現場だったら一日目の撤収がないので多少楽です。しかし、本番が終わった後がある意味私たちは本番なので、一番ハードな撤収作業が一日の終わりにあるのはしんどく感じます。

 

また、設営は時間に間に合わせないといけないので、すごくバタバタと進みます。とはいえ、意外とリハから本番までの待機時間が長かったりするので、正直言って無駄な拘束時間というのも多いです。

 

PA機材の一つ一つは結構な重量ですし、野外で雨が降ってしまった時でも設営撤去作業はあるので、ある程度体力に自信のある方でないと続かないです。

 

オペレーターはすごくカッコよく感じますが、本番の時以外はすごく地味で体力的に負担の大きい仕事です。

 

長時間低収入


一番大変なことは騒音問題の解決とそれと同時進行するアーティスト側からの音響に関するオーダーの二つをキレイに重ねることです。

 

騒音に関してはコンサートホールやライブハウス、スタジオなどの建物・部屋の防音や遮音、防振じ楽器最優先しなければいけません。

 

例えば遮音するためにシートを貼るのですが、そうするとコンサートホールなどに余韻となる音を反響させることが出来ません。会場の設計から音の入反射を確認したのちに、外に漏れないようにして、かつお客様のライブ体験を最大限に感じて頂く為に配慮した防音構成を取ります。

 

しかし、もぐら叩きのようになりますが、アーティスト側からの要望と合わないこともあります。防音によって音色が崩れることを嫌がるアーティストさんからには配慮が必要になります。

 

その場合会場の外に音漏れを防ぐための機材を設置することもあります。当然作業員が増えますので、事前打ち合わせで綿密にやりとりをした中で、当日の作業を迎えます。

 

また事前に特殊機材の開発、確保もしなければなりません。コンサートの実施の2年前から打ち合わせをするアーティストさんもいるほど、お互いの本気度がぶつかりあい、やりがいを感じつつ大変だとも感じています。

 

大変だと感じることはたくさんありますが、1つ上げるとすれば収入に見合わない勤務時間の長さでしょうか。

 

一言に音響エンジニアと言っても仕事内容は様々です。音響エンジニアは有名歌手のコンサート、舞台演劇、ダンス教室の発表会、お祭りのステージなど様々な場所で仕事をします。ほとんどの催し物には、仕込みと呼ばれる機材準備・設営の時間があり、本番と同じ時間かそれ以上の時間をかけて行うリハーサル、そして本番があり、バラシと呼ばれる片付け・撤去の時間があります。

 

その会場を使える日程と開演時間はあらかじめ決められている為、必ず開演時間までには仕込みとリハーサルを完了する必要があります。

 

人手不足やコストの問題から短期間で夜通し仕込み、リハーサルを行うことがあります。もしくは予期せぬ機材トラブルに見舞われてホテルに帰れなくなる、といったこともありました。

 

この職種に限ったことではないと思いますが、給料の安さ、体力面でのキツさのせいか常に人手不足の状態です。

 

耳を守ること


音響エンジニアに必要とされる素養は耳の良さです。

 

しかし、周知の通り、聴覚というものは視覚などと同じく年齢によって衰えて行きます。モスキート音が歳をとるにつれて聴こえなくなるといったことをご存知でしょうか?ああいう現象がやはり老化に伴い出てきます。

 

老化は食い止められませんが、しっかり身体を休めたり耳を守ってあげることで衰えを緩やかにすることが私たちには求められます。

 

例えば、カナル型イヤホンなどは極力使わないようにします。大きい音は習慣的に避けるようにします。

 

昔自衛隊などで大きい銃声などを聞いたり、工事現場で爆音の機械音を聴き続けた私の父親などはやはり聴覚の衰えが早かったです。パチンコ店などに長居するのも良くないですね。あそこもすごい爆音が流れ続けていますから。

 

アーティストが喉を保護するのと同じく、スポーツ選手が身体をケアするのと同じく、私たちは耳を守ってあげるということを強いられます。これはプロとしてやらなくてはいけない義務なのです。

 

下積み時代


音響エンジニアの仕事で1番大変なことは下積み時代の大変さです。

 

どんな仕事にも下積み時代は必ずありますが、音響エンジニアにおいての下積み時代は特に大変です。そして、音響エンジニアとしてステップアップしていくには下積み生活が必要不可欠です。

 

思い描くようなキラキラした仕事に反して、下積みでは力仕事や雑用が多くあります。というよりもほとんどが地味な雑用仕事です。

 

朝早くから夜遅くまでと労働時間も長く、体力的にも大変です。自宅に帰る時間もなく、スタジオで仮眠をとり仕事に当たることもあるほどです。

 

この下積み時代では、仕事内容に対して給料が見合わないと思うこともしょっちゅうです。そしてこの仕事に対して思い描いていた理想とは全く違います。

 

仕事自体の知名度も低く、かなりマイナーな仕事でもあります。そのため、情熱がないと続けられないような仕事です。

 

このように音響エンジニアで1番大変なのは最初の数年の下積み時代で間違いありません。

 

メンバーが揃っていない時に、音について弄ること


音響エンジニアの仕事で一番大変なことは、メンバーが揃っていない時に、音について弄ることです。

 

現在、音楽業界は非常に厳しい状況なので、音楽以外の仕事を掛け持ちしながら活動している人が沢山います。

 

そんな多忙な状態で、レコーディング等を進めなければいけないので、メンバーが揃わずに作業を進めていくことはよくあります。その時に、曲のミックス等に関して重要な変更を、メンバー全員に許可も取らずに実行すると、いなかったメンバーが曲を確認した時に、トラブルが起こります。

 

特に、元々メンバーの関係が悪いグループと一緒に仕事をすると、空気がさらに凍りつくので、それはそれは大変なものです。しかし、納期や予算の関係もあり、それでも仕事を完成させなければなりません。

 

私自身はそんなこともあってか、変更をする際には、「他のメンバーの了承はとりましたか」と聞くことや、「今日の作業でやったことを、箇条書きでいなかったメンバーに伝える」ことを促しています。

 

否定せずに、期限までに全員揃ってチャレンジする姿勢が、作品を生む上で重要だと思います。

 

観客の声でアナウンスが消えないよう調整すること


音響エンジニアにとって一番大切なことは、観客の声でアナウンスが消えないこと。

 

場所によりますが体育館の場合、隅々まで音や声がクリアーに聞こえることが重要になってくると思います。特に席によっては、何を言っているのかわからない、むしろ雑音にしか聞こえないということもあります。その時は、スタッフをその席に立たせて声の通りはよいかを確認する必要があります。

 

一番苦心したことは、主賓の方の声がハモって聞こえずらいことがあり、冷や汗をかいたことがあります。やはりマイクの調子は温度によっても変わってきますので、注意が必要です。あとはバックに流れるミュージックは、そこにスピーカーがある場合、盛り上がっているときには、そんなに気にならないですけど、試合が終盤に向かっているときには、これも雑音にしか聞こえないので注意が必要です。

 

音響は、場を盛り立てる必要な道具ですやはり細心の注意を払って機器を操作したいものです。自分が感じている心地よい音と、他者が感じている心地よい音は違うことを念頭に入れたいものです。