運行管理者で一番大変なところを経験者に聞いてみた
ルート選択
運行管理経験で一番大変なのは、日々変わる需要、顧客の燃料、液化ガスの使用状況が変わる中で、一番最適なルートを選択しないといけない。
これが運行管理者の成績になるので、充填する場所から顧客の距離、配送している車種の搭載量など頭にいれていた。ガスや燃料によって、出荷ポイントが違うので、証明書を持って、運転手へ指示を出すときに適当に出すと、問題がおきることがある。正確な時間と場所、その後の運行通路、申請など、1つの注文で登録しないといけないことが多く、それをやっていないと法令違反になる。
工業ガスの運行管理を少し経験したが、決まった顧客だけならルーチンで対応できる。しかし、新規や突発的な配送では、運行管理は人も配送車、ローリーも限られているので、慣れないと大変である。
今は、システムで、顧客のガスタンクなど、液面を監視して、自動で充填してもOKな契約にどんどん変わっているので、FAXや電話で充填依頼を受けていた10年前は大変だった。
私が行っていた仕事の種類は様々な種類の製品をお客様のもとに運ぶトラックの配送の運行管理に関するものでした。一番大変なことはいろいろなお客様の要望を聞いてそれぞれの希望になるべく添った配送日、配送時間を決めていくことでした。
無茶をおっしゃるお客様は当日に配送を希望されることもありますが当然前日には配送のルートは決めています。その中にそういった急に生じた配送を入れ込むのはドライバーにも負担がかかりますので当然ドライバーから文句も言われます。
ですがそのことをお客様に言ったとしてもこちらはお金を払ってるんだからどうにかするのがお宅の仕事でしょうとおっしゃる方もいらっしゃいます。できる限りで最短の配送日程を組みお客様へご了承いただくことしか物理的に不可能ですが、前述したようなお考えのお客様はなかなかご了承下さらないことも多いもの。
そうなるとどうにか他のお客様にお願いをして他の日程に調整をしていただき、そのお客様の配送を希望通りに行うということをしていました。
勤務作成
運転手の勤務作成がなによりも大変だと感じます。
現在、運輸業ではどの業界でも運転手不足で、休日出勤や1人あたりの勤務時間を増やす事で対応しています。人員不足はおそらく今後も解消される問題ではなく、かつ運転手の年齢も高齢化する一方です。高齢化によって、体調の悪化も増え、突発の休みや長期休業も増え、さらに勤務内容が厳しくなります。そうなると、健康な運転手への負担が増え、勤務内容に偏りが出ます。それによって運転手の不満が溜まり、勤務への協力度が低くなります。
運行管理者は、運転手より上位の役職になりますが、運転手と同じ目線に立って信頼関係を築く必要があると考えます。しかしながら、人員不足や運送業関係の法令が厳しくなっていることにより、運転手に厳しい業務を強いなければならず、信頼を得ることが難しくなり、勤務への協力も難しくなっています。
過去に、入院を伴う長期休業の運転手が何人も出た際、何人もの運転手に休日出勤や勤務調整の協力をしましたが、『何回やればいいのか』と協力を得られず、結果他の運転手が半日以上乗務をする、という事がありました。
勤務作成のために、何日も何十人の運転手と話し、朝早くから夜中までかかって翌日の勤務を作成した、という事が何度もありました。
一般貨物自動車運送事業での運行管理者経験が少しあります。1番大変だったのは、配車をする時に、よくドライバーに怒られてしまうことです。
運行管理者資格を持った配車担当者が3名いて、私は1番下なので他の2人が主に配車を考えたり変更したりしていました。今月に関東に上った回数や、手積みでの荷物を運んだ回数、体調などを考慮した配車を、その2人が考えてくれて、それを私が電話や直接でドライバーに伝えます。
気性が荒い人も多く、少し気に入らない配車だった場合に、とても不機嫌になって色々言われてしまいます。その2人には、文句言われてもうまくあしらってと言われるのですが、なかなかできなくて大変でした。
ドライバーも配車を考えた人が誰だかわかっているので、その二人への文句を私に言ってくるのですが、両方とも私にとっては上司みたいな感じなので、挟まれてやり辛かったです。
ドライバー全員が納得する配車を決めるのはなかなかできません。
異常時対応
運転手の体調及び勤務状況が法令違反にならないように気をつけ、安全第一で予定通りに滞りなく配送がすすむように配車するのは当然とされる運行管理者の仕事。その中でも一番大変な事というと、トラブル時の対応かと思う。
例えば、事故などによる道路状況の変化や天候の変化である。大型車であれば通行できる道は限られるので、運転手に迂回路を教えようにも離れた場所からの指示はなかなか難しく大変なものである。誘導した道に車高や車幅制限、重量制限などがある場合も少なくはないし、積荷が危険物の場合の制限もある。誘導の仕方によってはUターンも余儀なくされ、大型車ゆえに運転手をかえって難しい状況に追い込んでしまう場合があるからだ。
自分の経験で言うと、こんな事があった。
積荷はLPGでタンクローリー車の配車をしていた時のこと、突然の大雪に見舞われ運転手は高速道路を降りる事となった。下道の案内を無線でして欲しいと言われ、地図で大きい道路を案内した。しかし、その道は1本道で逃げ場が無い上に坂道となっていたので、運転手は雪の中かなりの危険な状況で、その道を走行する羽目になってしまったのである。
ようやく停車出来る場所を見つけ、チェーンを巻く事ができたので大事には至らなかったが平面な地図上だけでは分かりにく事もあり難しいものだと感じた。坂道で雪道など滑りやすい路面の場合、ハンドル操作に注意しなければジャックナイフ現象を起こし、大事故に繋がる危険性もある。自分の会社では無いが、同様の状況が起こった結果、崖下にローリーが転落して積荷に引火し爆発を起こすという大事故に繋がった事があった。
マニュアル通りに行かなかった時の対応力も身につけておかなければ、運転手の生命だけでなく様々な人の命を危険にさらしてしまう可能性のある仕事だと強く認識し仕事に挑まなければならない。
その為には日々、トラブルを想定して、道路の状況や天候や運転手の体調管理などあらゆる所に気を配り、対応力を上げる事が一番大変な事だと考えられる。
私は鉄道会社に勤務しております。30代の頃約3年間、列車の運行管理者として輸送指令室に勤務しておりました。
鉄道の運行管理者として一番大変なことは様々な要因で発生する異常時対応です。
通常であれば運行ダイヤによりシステム管理され列車が運行されています。例えば事故(人身事故、踏切事故等)や自然災害(強風、大雪、地震、台風等)などが発生すると事故処理や運転規制により大幅に運行ダイヤは乱れてしまいます。そうなると紙のダイヤ票により運行計画をしなければなりません。
計画ができると車両の運用やお客さまへの案内計画(他列車の接続等)、鉄道設備の点検手配、警察機関や消防機関との運転再開に向けた調整、乗務員の運用手配など数多くの管理監督をしなければなりません。全ての調整事項には安全が最優先されます。
これは勿論、ご利用いただいているお客さまの命や現場で働く社員の命を守るためです。ダイヤが乱れる時間が長い程、かなりの労力が用します。時には24時間、一睡もせず、従事することもありました。東日本大震災の時は被害状況の確認から社員の安否確認、復旧計画など鉄道人生で一番、苦労したのが今でも記憶によみがえります。
その一方、運転再開した時の感動も思い出すと目頭が熱くなります。対応している時は分かりませんでしたが、TVで運転再開時に線路沿線に住む方、特に子供達が列車に手を振ってくれたり、横断幕に「ありがとう」「頑張れ!」とエールをいただきました。鉄道が地域の方に愛されていることが改めて認識させられました。
今現在は企画部門で業務に従事していますが、常にご利用していただくお客さまへの安全、安定輸送の提供を一番に考えております。残りの鉄道人生もお客さまに愛される会社創りに貢献していきたいと思います。
割に合わない
運行管理者と一口に言っても、旅客と貨物、会社の規模や事業形態によって大変なことは様々。自分も体験し、そして全てに共通している大変さと言えばそれはスバリ「中小・零細企業の悲しさ」でしょう。
この業界の大半は中小企業。例えば、タクシーの場合、24時間営業がスタンダードですが、大概の営業所は運行管理者は一人しかいません。事務管理部門にそれほどの人出が割けない会社がほとんどです。それなのに法令では運行管理者による対面点呼が義務付けられています。物理的に無理でしょうが。
つまり建前としては運行管理者は24時間、年中無休で働かなければならないことになっています。実際には講習を受けただけでなれる「補助者」が幾分かの業務を分担しますが、会社から選任された運行管理者の責任は重い。
それこそ、建前では大きな権限があり、社長に様々な助言や進言が出来ることになっています。ですが、旧態依然のブラック体質を残したままの会社が多い業界ではむしろ、会社のブラック経営を隠蔽する管理職に成り下がる場合が多いんじゃないですか?
事実、長時間労働は強いられるし、法令違反が摘発でもされれば運行管理者の責任だし、それに起因する重大事故でも起きたらとても責任は負いきれない。
実際の業務に就いてみれば「割に合わない国家資格」の筆頭が運行管理者じゃないですか?国土交通省も、厚生労働省もそんなことは分かってるはずなのに現状放置ですね。理念は立派だけれどまさに「建前」という日本のお役所仕事の最大の特徴が浮き彫りになったお仕事です。