その仕事で一番大変なところ

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児童相談所職員で一番大変なところを経験者に聞いてみた

子どもへの対応


最初の職場が児童相談所でした。児童相談所には、虐待、非行など様々な境遇の子ども達が入所しています。自分が生きてきた中では経験した事がないような境遇の子ども達とたくさん出会ってきました。

 

大変なのは、自分ではなく、これからそんな境遇の中で生きていく子ども達なのだ…といつも思っていました。

 

虐待で入所してきても、子どもは親が大好きな子が多いです。「家に帰りたい」と言っても、虐待の危険が高い場合、施設に入所することも多々あります。家に帰るのか、施設に行くのか、何が正解か…その子が大きくなってみないと分からないとも思います。今ある状況の中で最善の答えを一緒に探すのが仕事なのだ…と思います。

 

時には家に帰りたい子を説得して施設や里親に行くよう話し合ったりしてきました。愛を求める子どもの思いが、家族である大人から返ってこないこと、職員がいくら愛情を注いでも、それは一時的なものであること…そのことがもどかしく、大変というより、一番歯痒かったです。今はどこも施設が空いていなく、児童相談所で保護される期間も長くなってきています。

 

TVではバッシングを浴びることも多いですが、多くの職員は朝から晩までたくさんの件数を抱えて仕事をしています。

 

「なぜケースにあがっていて防げなかったか」とよくテレビで言われていますが、もっともっと深い所まで取り上げて欲しいです。どれくらいの件数があり、施設はどれくらい空きがあり、職員はどれくらいいるのか…虐待件数がどれだけ増えてきているのか…核家族が進む中で、もっと社会全体的に取り組んでいかないといけない問題だと思っています。

 


一番大変なことは、児童虐待の疑いが濃厚な家庭を訪問し、法的権限を用いて子供を施設に預かる措置をとったあと、子供が親元へ帰りたがるのを阻止することです。

 

施設に収容される子供は、親から暴力を振るわれていたり、まともに食事を与えられていなかったり、入浴させてもらえていないなどの虐待を受けているケースが多いです。ところが、実際の年齢が7歳や8歳といった幼い年齢であると、判断能力はもちろんないわけです。

 

このため、何が正しくて何が正しくないのかの判断力を子供は持っていません。そのため、親から引き離された事実を「最悪な事態」と認識してしまうケースが多いのです。

 

実際、私も児童虐待の通報を受け、何度もそのお宅を訪問したうえで児童虐待の事実を認定し、法的権限を執行して子供を施設に引き取ったことがあります。ところが、被害者であるはずの7歳の子供が「家へ帰りたい。お父さんとお母さんのところへ帰りたい」と言って泣くのです。これには、ホトホト困りました。
「君は、お父さんとお母さんから暴力を振るわれているから、当分はこの家で寝泊まりしようね」となだめるのですが、まったく子供は理解できません。暴力を振るわれても、親が恋しいのです。

 

幼い子供には言葉が伝わらないため、本当に大変な仕事です。

 


虐待対応。

 

24時間拘束されている感覚が抜けない。緊張しっぱなしであるし、書類作成と会議をしながらケースワークをしている。管理職の力量もないのに、とやかく言う管理職もおり、子どもの最善の利益になっていないことも多々ある。

 

現場は死ぬ気で働いているのに、社会的な評価は低い。我々は使い捨てなのか、そんなことすら感じる。

 

子どもへ身体的な虐待を加え、凄惨な状況を目にすると、またかと落胆する。その繰り返しに耐えかねて、職場の定着率は上がらない、そればかりか日々追い込まれ神経をすり減らしている。

 

昨今は家庭訪問すると、対象者宅でコロナなのに来る神経がわからないと言われ、完全防備で臨検しているにも関わらず、嫌味しか言わない奴らばかりである。

 

職員は日々もがき苦しんでおり、休日、夜間を問わず電話を拘束されるのは大変しんどい。自分の家族を犠牲にしている感覚は半端ない。

 

人員の不足は顕著であり、心理的な負担感は強い。ストレスを感じる。

 


親身になって心をこちらから開いて対応することです。

 

輪番制はありますが、ある意味で365日24時間対応しなければなりません。相手の立場にならなければなりませんが、あまりにも感情移入すると、自身の精神状態が不安定なものになりかれない点もあります。気持ちだけではなく、身体も張って対応しなければならないこともあります。

 

客観的な判断が難しい場合もあります。

 

数年前ですが、母親の主張を聞いて対応していたところ、どう考えてもおかしい・つじつまが合わないと感じていたのですが、あるとき、父親から状況を確認出来ることがあり、それまでの母親の主張が、あやまりであることが判明したことがありました。

 

経験則もある意味で重要で、直感的に感じたことが当たっていることも多くなりました。

 

子供の言うことが、親に言いくるめられていたり、親をかばっていたりすることもあるので、その点に注意しなければならないこともたいへんな点です。

 


私の体験上、児童相談所に来るお子さんは不登校だったり、なんらかの障害を持っている子、そして家庭でなにか問題が起きてる子が多いと思います。

 

その子たちの心を開かせることが1番大変なことだと思います。

 

なのでまずはその子たちを安心させてあげることが大切です。

 

その子になんらかの問題が起きた時、正直言うとほとんどが親が悪いです。親が子どもに暴力をふるっていたり、ちゃんと子どもの話を聞かなかったりしていると親と子の心がすれ違ってしまいます。

 

子どものことを考えるのと同時に親とも話す時間をとったほうがいいでしょう。

 

体を不潔にしていたり汚い言葉をつかっていたり。

 

それが普通だと思って過ごしていた子どもたちは学校や社会に出たときにいじめられてしまいます。そして孤独になり不登校になってしまいます。

 

人の気持ちを変えることはとても難しいことですが家族等を援助し、ともに考え、問題を解決していくことが児童相談所のお仕事になります。

 

 

親への対応


この仕事で一番大変なことは、電話対応を切り上げることです。

 

子育てに不安のあるお母さんや、精神的に疲れて病んでいるお母さんたちはよく電話をかけてきてくれます。お母さんからの精一杯のSOSなので、きちんと対応しなくてはいけません。

 

しかし、トラブルがあったときだけではなく、ただただ不安を話したいだけの電話であることも多いです。事務作業や訪問、連携会議など他の仕事も立て込んでいる中で、すべての作業を中止せざるを得ない電話を切らなければいけないタイミングもあります。

 

お母さんたちの気持ちを十分に聞いてケアしてあげたい気持ちもありますが、どうしても仕事を回すことを優先しなくてはいけないジレンマにいつも悩んでいます。お母さんたちの話をじっくり聞いてあげて、ケアしてくれる専門職、心理カウンセラーが常駐増員してくれると助かると考えています。

 

ただでさえ人手不足な児童相談所で、お母さんの話を十分に聞いてあげるという業務はとても大切なのに後回しにされがちです。小さなSOSを見逃さないために、お母さんの声に耳を傾けたい。でもそれがかなわない現場の状況に疲れてしまうことがよくあります。

 


自分の子どものことを大切とも思っていない、愛情もない、しかし、自分の所有物として手放そうとしない保護者を相手にしないといけないことです。

 

我々は子どもが幸せな生活を営み、希望を持って大人になれるように援助していきます。多少乱暴であったり、高圧的な保護者さん、時にはそれが反社会的勢力の方の場合もありますが、と話し合っていく際に、子どもへの愛情が多少でもある保護者さんであれば、話し合いを続ける中で、こちらがどれだけ子どもさんのことを大切に思っているかを理解してくださいます。

 

しかし、自分の子どもへの愛情が全く無い方には、こちらの話が全く通じず、子どもの命のためには、親権停止等の措置をとらざるを得なくなってしまいます。そこで保護者は怒りますが、傷つくのは子どもです。

 

しかし、子どもが傷つくことには、全く無頓着な保護者は一定数いらっしゃり、そして、そういう保護者が確実に増えています。その方達の多くも、自分の親から虐待を受けたり、愛情を受けずに育ってきた方達です。

 

つまり、大局的に見ると、日本の歴史における、子育ての負の側面が今まさに表面化しており、こて先の対応だけではどうにもならないところまで来てしまっていますが、我々は目の前の子どもの命を救うため、話が通じない方と時間をかけて話し合わなければなりません。

 


こちらの仕事の一番大変なのは、措置をする際のプレッシャーですね。

 

措置をするというのは虐待を含むきちんと養育をしない親から子供を引き離すパターンと、精神的な病気があり養育ができない親から子供を引き離すパターンがあります。どちらのパターンにしても親からかなり抵抗されます。

 

そのためほとんどの場合警察と一緒に動く事にはなりますが、それでも暴力を受ける可能性があります。その精神的なプレッシャーは本当に半端ないです。そしてこちらの職員は基本的には子供が親元に帰るように支援していきます。そのためこのような親とも粘り強く関わっていく必要があります。その際には罵声を浴びせられる事もかなりあります。そのプレッシャーは本当に半端ないですね。

 

こちらのスタッフはこのように専門性が求められるので、生半可な気持ちではしてはいけない仕事と言えます。しかしそれを乗り切ると子供からかなりの喜びを得る事ができる仕事でもあります。

 


家庭という密室の中で負った怪我に対し、病院や学校から虐待の疑いの通報があり調査するも親が事故だと主張した場合の判断。

 

子供本人は例え虐待による怪我であっても自身から話すことは無い。親に嫌われたくない捨てられたくないという思いから庇う事が多いため、真実を知る親子以外の外部の人間が虐待の判断をせざるを得ないから。

 

虐待の可能性が濃厚であるにも関わらず、親子共に幾度の聞き取りでも虐待でないと主張する場合、医学的に家庭内の不慮の事故でなりうる怪我であるか、という判断を医師に仰ぐなどして確実な切り札が無いと一時保護の措置が取れない。

 

学校や近所からの通報があり通院歴もあったものの、不慮の事故でも起こりうる怪我である(虐待による怪我だと断定できない)という病院の判断により一時保護を巡る両親との裁判でこちらが証拠不十分で負けた。子供は家に帰った後数ヶ月でよりひどい怪我で入院となった。

 

世間からすればなぜ親元へ返したのか?調査不十分と思われるだろうが、虐待の立証は医者でも難しく親権をもつ親相手に虐待、一時保護の判断を下すのは大変難しい。